体調不良彼氏。（雪男） (ページ3)

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2.渡辺side

朝起きたときに感じた頭痛とだるさ。今までの経験上からわかる。絶対これ熱出てるやつだ。でも今日は大事な取引先との営業。休むわけにはいかない。重たい体に鞭打って、会社に向かった。

結果で言うと、営業自体は大成功。我ながら熱のある頭でよく頑張ったと思う。ただ結構無理していたみたいで、自分のデスクに戻ろうと立ち上がると眩暈がして倒れそうになってしまった。そこからの意識はあまりなく、目が覚めると自分の部屋だった。

無意識のうちにAのことを呼んでいたみたいで、隣には優しい顔で俺の頭を撫でるA。心配かけちゃったな…。

渡辺「A、」

本宮「あ、翔太おはよう。体調どう？」

渡辺「寒気は落ち着いたけど、まだ頭痛いしだるい…。あと関節も痛いかも…」

本宮「熱は上がりきったかな。寒気落ち着いたんだったら布団減らすよ。おでこに冷えピタ貼ってもいい？…関節痛があるならインフルかなあ」

小さく頷くと、ペリペリとビニールを剥がしておでこに貼ってくれた。よく見ると、Aの近くには診察セットが。どうやらこのまま診察もするらしい。

渡辺「A、それ…」

本宮「あー、翔太起きてるし、ちょうどいいタイミングだから診察もしようと思って。まず喉見るよ。口開けて？」

喉を見られたり胸の音を聞かれたり。検査結果はA型インフルエンザ。まだ秋なのにって思ってたら、今年は流行が早いんだよって検査キットを片付けながら教えてくれた。

本宮「喉腫れてたから喉の炎症抑える薬も出しといたよ。あと数時間で届くと思うけど、私が出るから翔太は寝てな」

眠そうな顔してるって手を握って優しく頭を撫でてくれる。Aの歌声に吸い込まれるように目を閉じた。次に目が覚めたときには少しでも楽になってたらいいな。

…そう思ってたんだけど、インフルはやっぱり手強いらしい。急に咳が止まらなくなってしまった。

渡辺「ッゲホゲホ！げっほごほ！っはぁ、はぁ、きっつ…」

本宮「しんどいね。一緒に深呼吸しようか。はい吸ってー、吐いてー、もう一回行くよ？吸ってー、吐いてー、そうそう上手。どう？ちょっとは落ち着いた？」

渡辺「ん、けほっけほっ、さっきよりマシ。ありがとう」

本宮「よかった。横になるとしんどいだろうしここおいで。抱きしめてあげる」

人と触れていた方が安心できるでしょって優しく俺を抱きしめてくれた。もう眠気も限界だ。Aの「おやすみ」という言葉を最後に目をつぶった。